memory〜紅い蝶と私の記憶〜
第十章

思い出せない君

紅蝶と同盟を組んでから数日。


あの日から眠るたびに夢を見る。


きっと彼氏だろう人と、手を繋いでいて。


大きな水槽には、たくさんのキレイな魚たちが泳いでいる。


サメに、ジンベイザメに、カニ、ペンギン、イルカ。


いろいろな種類の魚たちが泳いでいる。


…ああ、ここは水族館だ。


見覚えのあるそこは、moonのみんなで出かけた水族館だった。


だからあの時、懐かしいと感じたのか。


なんて少し他人事に思ったりもして。


『あ!!ジンベイザメきたよ!写真撮ろ!』


『ちょっ、引っ張ったら転けるだろ』


『その時は受け止めてあげる!』


ジンベイザメが後ろにくると、ポチッと押さられるボタン。


写真を撮る2人はとても幸せそう。


本当にこれが私なのかな?って疑いたくなるくらい。


…今が幸せじゃないわけでもないけど、それ以上に幸せそうなんだ。


幸せだって、すごく伝わってくるから。


写真を撮り終わると、離していた手を繋ぎ直す。


向かう先は水族館の外。


前にみんなで食べたところだ。









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