memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「体調は大丈夫だよ。ちょっと驚いただけだから」


「そっか…。それなら良かった」


そう言ってまたあのキレイな顔で笑うものだから。


また顔が真っ赤になる。


あー、もうダメだっ。


真っ赤になってしまった顔を隠すように俯く。


どうしたんだ、私っ!


お兄ちゃんのドアップでもこんなに顔が熱くなるほど真っ赤にならないのに!!


顔だけはイケメンのお兄ちゃんなのにっ!!


「だ、だから…その…名前は高松くんでもいい…かな?」


まだ心の準備が出来ないし、すぐには無理だけど…。


いつかはきっと呼べるようになるから。


そんな思いを込めて、高松くんを見つめる。


「ん、それでいいよ。星南が慣れるまで待つよ。その変わり、いつかはちゃんと呼んでくれよ?」


「もちろん!ありがとう!」


良かった!


ちゃんと思いが通じた!!


思いが通じるのって、こんなに嬉しいんだね!


前の私は…この嬉しい気持ちにちゃんと気づけていたのかな?



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