memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「俺…総長なんだけど…」


「一応っす」


「細かいことは幸助さんがやってますしね〜」


みんな容赦ないね…。


お兄ちゃんだんだん沈んでいくんだけど。


キノコを生やしそうな勢いだよ。


どうするのこれ…。


なんて思っていると、幸助先輩が近づいてきて。


「星南さん、申しわけないのですが、姫になることを承諾していただけませんか?」


そう耳元で呟いた。


「姫になるということは、敵の族から狙われるということ。危険なことは星希もわかっているはず。なのに姫にするというのは理由があるからだと思うんです」


姫にする理由……。


…もしかして、さっき言っていた〝本当の笑顔〟に関係がある?


わからない。


だけど私が今することは…。


「お兄ちゃん、私姫になるよ」


その言葉にみんなが一斉に私を見る。


お兄ちゃんなんか、すごく驚いた顔してるんだけど。


え、お兄ちゃんから振っといて何で驚いてるの?


「い、いいのか?」


「いいよ。姫っていうのがどんなに危ない立場になるのか幸助先輩に聞いた」


「…まぁ、簡潔にですが」


…簡潔な割りには結構わかりやすかったんだけど。



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