memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「ありがとう」


高松くんにだけ聞こえるように呟いた。


本当に、本当に小さな声。


だけど、高松くんはちゃんとその小さな声も拾ってくれて。


ニコリと笑ったんだ。


…っ心臓がいくらあっても足りませんね。


私、いつか高松くんに殺されそう…っ。


「星南ー!倉庫行くぞ〜!」


「はーい!」


お兄ちゃんに呼ばれて高松くんから離れたから。


お礼を言うだけ言って、高松くんを見なかったから。


だから…私は気づくことが出来なかったんだ。


高松くんの顔が真っ赤になってること。





そして。


私の気持ちに変化があることを…。













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