人事部の女神さまの憂い
15



3月に入ってから、香織さんから宅飲みのお誘いがあった。いつものように一度自宅に戻ってから香織さん家にお邪魔すると、いつもより豪華な立花さんの手料理が並んでいる。

「うわ、すごい!これどうしたんですか?」

「今度提携しようとしてる会社のアプリでプロの料理人のレシピ公開してて。どんなものかと思って試しにつくってみた。結構いけそうだろ?」

自慢気に話す立花さんの隣で、料理をつまんでいる香織さん。

「見た目だけじゃなくって味も結構いけるよ」

香織さんに褒められたのが嬉しかったのか、デレた顔になって

「じゃあ、もう1品つくっちゃおうかな」

なんてキッチンに戻っていた。なんだかかわいいなと思ってみていると

「これ、忘れないうちに」と香織さんから封筒を渡された。それを見ただけでテンションが上がる。

「うわ、いよいよですね。おめでとうございます!」
封筒の中身は2人の結婚式の招待状。5月というのは聞いていたが意外なことに会場は都内から離れた海辺のレストランだった。

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