くれなゐ症候群




「いらっしゃいませ」

黒服に迎えられて、奈緒は怖じ気づく。

間接照明が効果的に使われた店内はほの暗く、見通しがきかない。


和也は、この町のことをよく知っているようだった。

いくつかの角を曲がり、いくつもの路地の奥に入り、とある雑居ビルの裏を回り、階段を上がったところにある扉の奥へ、迷わず足を踏み入れた。


「2名様ですね」

黒服の言葉に、鷹揚にうなづく。
< 126 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop