Blanc
シロネコ
「ブラン、ブラン」


 呼ぶ声に、私はちらり振り向くけど、歩みよったりはしない。


 もう、無理をしてあわせなくてもいいんだ


 ヒトであり、少女であった私はもういないんだから


 薄汚れた白い毛並みのネコ。



 それが今の私。



 桜が咲いて、春が来たと思うように



 葉っぱが赤くなって秋がきたって思うように



 いつの日か、私は自然とネコになっていた。



 不思議なことに。迷いとか、戸惑いなんてなかった。


 ただ、「ああ、今日のご飯はどうしよう」なんてことが、一番に頭に浮かんだ。



 ヒトだった時の私はさぞ、食い意地の張った人間だったのだろう。



 おぼえてなんか、いないけど



< 1 / 30 >

この作品をシェア

pagetop