花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「俺に用事って?」
航に追い付いた頼くんは、リュックを片方だけ肩にかけていて、気だるそうネクタイを緩めた。
本当に年下か?
……どっから来るの、その色気。
隣にいる航が哀れになってくるよ。
「あ、……ちょっと待ってね、」
つい頼くんに見惚れていた私は、ガサガサとカバンの中をあさって、ピンクのワイヤータイがついたラッピング袋を取り出す。
「はい。これ、頼くんに」
「……俺のもあんの?」
「いつもお世話になってるし、それに夏休みのレクのお礼まだできてなかったから!」
私の手からクッキーの入った袋を受け取って、中身を確認した頼くんは「焦げてないな」と口元に弧を描く。
この顔。まーた、私のことバカにしてる!
「焦げてるわけないし!味も最高だから!」
プクッと頬を膨らませて、ドヤ顔する私に、今度こそ頼くんは吹き出した。
あーあ、ほんっとひどい。
「……なぁ、花!これってさ?みわ先輩のクッキーと一緒?」
「一緒だよ。同じ班だったもん」
「えー、じゃあ何?これ花も作ったの?」
「ほぼ"私が"作ったの!」
横から話に入ってきた航が、私の言葉にポカンと口を開けて、手元のクッキーへと視線を落とす。