黒い心の片隅の、想いがあなたで消えた時



あー、始まった。

お父さんは温厚な方、普段は。


基本はお母さんみたいにすぐにカッとなったりしないけど、お父さんの中での触れてはいけない部分がある。

そこに触れると一瞬でキレる。


そして、お母さんはいつもケンカになるとその逆鱗に触れてしまう。



叫び声に聞いたことないような物音。

だから話がいつも進まない。



「子供がいなければ簡単に別れられたのに!!」


叫び声と物音の中、そんな言葉が混ざった。

聞きたくないのに、聞こえてしまう。



ここでも私は邪魔な存在なんだ。



紬はまだ幼いし、お父さんがたくさん遊んで疲れさせてるからこんなに大きい音や声でも起きないと思う。

こんなの紬には聞かせられない。



まだ言い合いが続いていたけど、私は耳を両手で塞ぎ目を閉じ、2人のケンカが終わるのを待った。



結局、お母さんの出勤時間までケンカは止まらなかった。




< 106 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop