黒い心の片隅の、想いがあなたで消えた時
「雫、就職先は決めたの?」
「……まだ」
「早く決めちゃいなさいよ。それともわたしが決めていい?」
「……いいよ」
「そう」
もうどうにでもなればいい。
どうせ自分のなりたいようになれない世の中だ。
それならいっそ、少しでもラクになりたい。
自分で考えることをせずに、決められてしまえばいい。
私の意見なんてないほうがいい。
そのせいで誰かを傷つけるくらいなら。
完全に感情を捨ててしまいたい。
もう、少しでも溢れてしまわないように。
心にそっと何重にも鍵をかけた。