黒い心の片隅の、想いがあなたで消えた時
「じゃあな。ご馳走様でした」
「バイバイ」
「バイバイ」
紬の声にまたそう返す橋本くん。
不思議な人だけど、すごく良い人だな。
私、そんなに学校と今じゃ違ったのかな。
けど、かわいいというのはおかしいと思う。
私には似合わない言葉だ。
「……まぁまぁ美味かった」
橋本くんが出たあと、ボソッと聞こえた声に顔を上げると芹沢くんの後ろ姿。
思わず笑みが零れる。
「良かった!」
私の声を聞いて、振り向かずに手を軽く上げてから出て行った。
紬は寂しそうに私の足に抱きついてくる。
こんなに心が満たされるのは久しぶりで、何だかくすぐったい気持ちになった。