黒い心の片隅の、想いがあなたで消えた時
紬をお風呂に入れて寝かしつけた後に、少しだけ散らかっているリビングを片付けて食器を洗う。
4人分の食器を洗うなんて、何年ぶりかな?
少なくとも私が高校生に入ってからは一度もない。
橋本くんはすごく良い人だった。
芹沢くんもなんだかんだで優しい気もする。
誰かを家に上げるなんてことも、本当に久しぶりだった。
玲奈ちゃんと仲良くなってから、忘れかけていた感情を思い出す。
私がいらないと押し込んだもの。
その大切さや温かさに気づかされる。
やっぱり、友達は欲しいよ。
仲良く話したり、どこかに遊びに行ったり。
そういうのはしたくないとか思い込んでた。
本当は私もずっと、高校生らしいことをしたかった。
大切な感情がいつのまにか欠落してしまっていたんだ。
玲奈ちゃんを家に呼ぼう。
紬もきっと喜ぶ。
何より、私が玲奈ちゃんと一緒にいたい。