ぬくもり
「司が携帯を忘れて行った日、私はまた司の携帯を見た。

履歴の瀬田幸代さんの名前を見てしまったの。」



だからだ…。
だから美沙はあの日、優に怪我をさせてしまったんだ。



「そして、イライラして優に怪我を負わせた。

けど、そんな私を優は受け入れてくれたの。

私は、もうイライラして感情に振り回されるような生活はしたくない。

だから…
もう…司とは居られない。」



俺は何も言えなかった。


全ての原因は俺にあったんだ。


美沙はそれを一言も責めなかった。



「少しだけ考えさせて欲しい。」


それだけ言うのが精一杯だった。



頷いた美沙の顔はまだ涙で塗れていた。


凛とした姿の美沙に、午後の日差しが射して凄く綺麗だった。

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