ぬくもり
「でも、本当に驚いたよ。
そうゆう相手がいるなら早く言えば良かったのに。」


「ごめんね。
何となく言い出しにくくて…」


「じゃ、俺達もう会うのはやめよう。」



幸代は黙って頷いた。


きっと彼女が切り出したかった話はこの事だろう。




不思議と俺の心の中には、寂しいとか未練のような気持ちは全然なかった。



きっと俺の幸代への想いは、あの時に終わっていたんだ。


また出逢って、お互いに懐かしさに引きずられていただけの事に気付けなかった。



でも、俺は彼女と再会できて良かったと本当にと思う事ができた。


傷つける事しかできなかった彼女の笑顔を最後に見る事ができたから…。

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