ぬくもり
待ち合わせの喫茶店には、珍しく俺の方が先に来ていた。



俺はコーヒーを注文して幸代を待つ。



「遅くなってごめーん。」


幸代は走ってきたんだろう。

幸代は肩で息をする。


俺のコーヒーを持ってきたついでにアイスティーを注文する。



「こないだは本当にごめんね。
あの後…どうなったの?」


心配そうに俺を問いただす。


「俺の事より、急ぎの話しなんだろ?」


「急ぎってゆうか…うん。」



よっぽど言いにくい話なのか俯いて彼女が黙り込んでしまう。


「どうした?」



「話ってゆうか…報告があるの。」


「うん。」


「実はね…結婚するの。」


彼女の口から意外な言葉が飛び出した。


彼女の年を考えると別に意外な事でもないし、彼女にまた逢うようになって、俺も彼女に誰か相手がいるのか気にした事もあった。



それがこんな形で幸代の口からあっさり告げられた。



「そっかぁ。
おめでとう!」



自分でも驚くくらい心から彼女の結婚を喜ぶ事ができた。



「ありがとう。」



そう言って微笑んだ彼女は綺麗だった。
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