ぬくもり
逃れられない現実からずっと逃げ続ける。


その間に、優は2歳になっていた。



優は他の子供より言葉が遅かった。


俺の事をパパと呼ぶ事もなければ、美沙の事をママと呼ぶ事もない。



意味のわかる言葉を話した事はない。


優の笑顔を見た事すらなかった。



いつも部屋の隅っこで遊び、何か物音がしたらすぐに隠れてしまう。


そんな可哀想な子に育っていた。

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