ぬくもり
「はいっ!」


私の目の前に、ハンカチが差し出される。



びっくりして顔を上げた私の目の前には、小学校高学年位の目のクリクリした可愛い顔の男の子が、心配そうな顔でハンカチを差し出していた。



「え?」



「おば…お姉ちゃん、泣いてるから…」



瞼に手をやる。
いつの間にか泣いていたらしい。



「これ、使っていいよ。

女の子には優しくしてあげなさいって、いつもお父さんが言ってるんだ。」



「ありがとう。」



私は、男の子が差し出してくれたハンカチを借りて涙を拭いた。



「お姉ちゃん、大丈夫?
どっか痛い?」



心配そうな顔で、私を覗き込む。



「ありがとう。
大丈夫だよ。」



その男の子の優しさに、また泣きそうになりながらも、私は精一杯の笑顔をむける。



「僕、もう買い物行かなきゃなんないから一緒にいれないけど、本当に大丈夫?

送って行こうか?」




彼の真剣な言葉が可愛らしくて、思わず吹き出してしまう。


「本当に大丈夫だよ。
ありがとう。」



「良かった。
じゃ、僕もう行くね。
翔ー!買い物行くよー!!」



砂場で遊んでいた優よりちょっと大きな男の子が駆け寄ってくる。



「じゃーね、お姉ちゃん。」



「あっ、ハンカチ…」


駆け出そうとする男の子を呼び止める。


「僕、いつも翔とここにいるから。
会った時でいいよ。
じゃーねぇ。」


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