ぬくもり
「本当に本当?」


司の目をじっと見つめる。



「本当だって。

何疑ってんだよ。
不安にさせて悪かった。

ごめんな。」



司は苦笑いしながら、優しく私を抱き寄せた。



「これからは、早く帰るようにするよ。

妊婦さんは不安定だっていうし、子供が産まれてくるまで2人の時間大切にしなきゃな。」



「うん。
産まれてきたら、きっと2人でゆっくりする時間なんてなくなっちゃうもんね。」



少しだけ、司の態度に不安を感じながらも、きっと自分の考え過ぎなんだと、自分で自分を納得させる。



大丈夫。
司はこんなに優しいもん。
きっと、赤ちゃんと3人で幸せになれるよね。



何度も何度も、自分とお腹の赤ちゃんに言い聞かせるようにして眠りについた。



この日を境に司の帰りは本当に早くなった。



会社を出る前は必ず携帯で連絡をくれるようになった。


帰りにスーパーで買い物までしてきてくれるようになった。



待ち合わせして2人で食事に行ったり、休みの日はショッピングや映画に行った。


まるで独身時代に戻ったように2人の時間を楽しんだ。

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