ぬくもり
「あたしね、嬉しかったの。

司の赤ちゃんができたってわかって凄く嬉しかったの。


司との赤ちゃん早く欲しいなってずっと思ってたから。」



「美沙は、そんな風に思っていてくれたんだ。

ごめんな、俺の態度で傷つけちゃったよな。

もっと早くにお互い子供を含めて、結婚生活ってゆうか、計画ってゆうか、ちゃんと話し合っておけば良かったな。」



司の言葉が、なぜか空々しく響く。



「ねぇ、本当は何かもっと違う理由があるんじゃないの?」



私はしつこく食い下がってみる。



「え?」


心なしか司の顔が同様してるように見えてしまう。



「だって、私達もう結婚して2年だよ。
ちゃんと結婚してるんだよ。

別に裕福じゃないけど、お金に困ってる訳じゃないし、私は働いてる訳でもなく専業主婦なんだよ。

普通ならそろそろって思う筈じゃない?

いくら子供が苦手にしても司の言ってる事おかしいよ。」



「だから、ごめん。」

司が頭を下げる。
謝られても納得いかない…。



「別に他の理由なんて何もないよ。

もう少し美沙との時間を楽しみたかっただけだよ。

結婚してすぐに転勤だったから、今の職場に慣れるのにいっぱいいっぱいで、美沙との時間楽しむ余裕なんてなかったろ?

仕事ばっかりで帰りも遅くてさ。

美沙だって、旅行に行きたいだの、帰りが遅いだの、よく言ってたろ。

ようやくこっちの仕事にも慣れて、美沙との時間も大事にできるなって思っていたところだったからさ。」



私の納得のいかないふくれっ面に気づいたのか、司は納得のいくような、いかないような話をした。


何かうまく言いくるめられてるみたい…。

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