ぬくもり
凌君の家に駆けつけると、翔君が痙攣を起こしていた。



目は白目をむき、体はガチガチにこわばっている。


熱性痙攣…?
痙攣を起こした時ってどうしたらいいんだっけ?
確か…



「ゆすったら駄目だよ!」



泣きながら駆け寄る凌君を止め、翔君の体を横向きにし、携帯で時間を見て何分か計る。



痙攣はすぐにおさまり、タクシーがタイミングよく来る。


「凌君、優抱っこしてくれる?」


毛布に翔君をくるみ、そのまま抱きかかえタクシーに乗り込む。



病院は優をたまに連れて行く夜間診療の病院がある。



泣きじゃくりながら翔君の名前を呼び続ける凌君に、翔君が反応して手を伸ばした。



「にぃちゃ…」



熱で顔を真っ赤にしながら弱々しく凌君を呼ぶ。



「ほら、翔君大丈夫だよ。
凌君。」



「しょうー…」



意識の戻った翔君の伸ばした手を、凌君がしっかり握る。



「翔、大丈夫だからね。
病院着いたらすぐに良くなるからねっ」

凌君は泣きながらずっと、翔君を励まし続ける。


「凌君、お父さんは?」



「美沙さん家に行く前に、電話したけどお父さん電話に出なくて…。」



連絡が取れなくて1人で心細かったんだね。



「そっかぁ。
心細かったね。
もう大丈夫だからっ。」



タクシーは病院につき、慌ててお金を払い病院へと駆け込む。

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