ぬくもり
「実は、優が産まれた日、岡崎さんの会社との商談だったんだ。

岡崎さんが『奥さん不安だろうから、商談の話はいいから病院に行きなさい』って言ってもらってさ、そのお陰で病院に行けたんだよ。」


司がチラチラ私の顔を伺いながら話す。

優の産まれた日…



私にとっては、思い出すのもつらい日だった。


1人ぼっちの孤独。

暴れている私を驚いて見つめてる司の顔を、今でも忘れられなかった。



そして、その後司は病院に姿を見せる事はなかった。



きっと司にとっても、あの時の私の姿は忘れられないんだね。



忘れられない日だったからこそ、話を濁そうとしていたんだね。



2人の間に微妙な空気が流れた。



「美沙は?
岡崎さんの子何で知ってたの?」



慌てて気まずい空気を変えるかのように司が聞いた。



「公園でよく優と遊んでくれるの。」



話題が変わった事にホッとする。



「そっかぁ。
でも鍵くらいかけてけよ。
心配するだろ。」



普段、私達に何の関心も示さない司からでた意外な言葉だった。


司の優しい言葉の響きに泣きそうになる。

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