ぬくもり
「今日は岡崎さんの会社に行ったよ。
美沙によろしくってさ。」



取引先の岡崎課長のところに行くと、岡崎課長の方から『子供達がお世話になって。』とか『奥さんにはよくしてもらって』なんて会話が必ずでてくるので、相当仲良くしているのがよくわかった。



「今日も公園で一緒だったよ。
優と翔君が、乗ってるブランコを、凌君が押してくれて、私の方が凌君にお世話になってるのにね。」



美沙がせっせと食事の用意をしている間、優はずっと美沙の足元にからまって遊んでいる。


「こーら!
優、危ないよぉ。」


優を引っ掛けて転びそうになる美沙が、優に何度も言うけど、優は美沙から離れない。



俺が優に一言『おいで』と言えばいいのかもしれないけど、その一言が出てこない。


俺は優にどう接していいかわからないままだった。


優も決して俺のところによってこようとはしなかった。



美沙との関係はだいぶ修復されたものの、優との距離は開いたままだった。

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