ぬくもり
家族としてやり直せるかもしれない。


そう思えるようになった矢先に、また暗いどん底な世界に落とされるような思いだった。


そのまま座り込んでいた私は、優の泣き声で引き戻された。



「優、起きちゃったの?」



慌てて優の元に行き、笑顔を作っても、心の中はドロドロした醜い気持ちでいっぱいだった。



やりきれない思いの中、私は晩ご飯の支度を始める。



そんな時に限って、優は言う事を全く聞かず、いろんな物を引っ張り出してきたり、食卓テーブルの椅子によじ登り、作りかけのソースを悪戯する。



「優、駄目!
駄目なんだよ!
ピンだよ!」



優を椅子から抱きあげ下におろす。



何度も何度も、優に注意する。


私のイライラもどんどん募っていく。

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