ぬくもり
病院は時間も時間なだけに、他の患者の姿はなく、すぐに優をみてくれた。


優は2針も縫う事になってしまった。



看護婦さんが私と優を引き離し、私は廊下に出されてしまう。


「お母さんは、ここで待ってて下さいね。
一緒だとお母さんの方が、お子さんの姿につらくなっちゃいますから。」


看護婦さんの手で、診察室のドアは閉められた。


「優ちゃん、どうでしたか?」


岡崎さんが心配そうな顔で聞いた。



「2針縫うそうです。
あっ、もう大丈夫ですから。
きっと凌君と翔君もまってますよね。

すいません。

本当にどーもありがとうございました。」



私は岡崎さんに深く頭を下げる。


診察室からは優の甲高い泣き声があがる。


私の目からは堪えきれない涙が次々と溢れる。
< 99 / 202 >

この作品をシェア

pagetop