ぬくもり
「うちの子達は大丈夫ですから。

ここで優ちゃんの泣き声を聞いているとつらくなりますよ。
あそこで座ってましょう。」



岡崎さんは泣いてる私を気遣い、少し離れた椅子を指さした。



「ありがとうございます。

でも、優は私のせいで、あんな小さいのに、女の子なのに、縫うような怪我をさせてしまったんです。

だから、ここで聞いてなきゃ。

優の方が、ずっとつらいんだから。」



私は優の泣き声が聞こえてくる診察室の白いドアを見つめる。



優の泣き叫ぶ声はずっと続いていた。



「じゃ、せめてそこに座りましょう。」



岡崎さんは私の肩を支え、診察室のすぐ横の椅子に座らせてくれる。



「子供は、どんなに親が注意してても怪我する事はあります。

あまり自分を責めない方がいいですよ。」



私には、こんな優しい言葉を掛けてもらう資格はない。



私は唇を噛みしめる。



「違うんです。
私がやったんです。
私が、私が…」


私は顔を両手で塞ぐ。



もう、診療時間ギリギリの待合室はガランとしていて、優の泣き声と私の鼻をすする音だけが待合室に響いていた。

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