田舎に行こう
自転車はドンドン進んでいき
駅も超えて・・・
奈津がまだ見たことのない場所を
過ぎていき・・・
それでもまだ、ドンドン進んで行った。

知らない場所と言っても
ほとんどが田んぼやら畑なので
景色は代わり映えしなかった。
奈津はぼんやりと自転車の後ろで
その同じ景色を眺めていた。

急な登り坂を越えて・・・
下って行く時に目の前には
海が広がっていた。

「わぁ~」
奈津は思わず歓喜の声をあげた。

「いいとこでしょ、へへ」
と、幸太郎は自慢げに言った。

海岸まで来て堤防のところを
自転車でそのまま走った。
奈津はこのまま落ちるんじゃないかと
思い、悲鳴をあげていた。
ギリギリ海に落ちる寸前に
幸太郎はブレーキをかけて止まった。

「落ちるわけないでしょ」
幸太郎が普通に言った。

「だよね、はは」



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