田舎に行こう

恋心

彼女の家がちょうど見えるあたりに
着くころには夕暮れになっていた。

そこまで来て、もぅ1度彼女に
会えるあてなどないことに気付いて
諦めて家に帰ろうかと思っていると、
その家から、ちょうど彼女が出てきた。

隆史はそっと後をつけながら・・・

『おれはストーカーか!』
と、自分の行動に少しの罪悪感を
感じながらもそうせずにはいられなかった。

そっと彼女の背中を離れて眺めながら
ドキドキする自分の心臓の音が
あたりに響きわたってるんじゃないかと
不安になった。
もちろん、そんなことはあるはずもなく
でも、そう思うほどの心臓の高鳴りを
感じていた。

彼女はフラフラと歩いて
川の橋に腰をかけていた。

水面に反射した夕焼けが彼女の
顔に赤くキラキラと
反射していた。

もぅそこまで見て、隆史は自分の
気持ちに気付いた。

『そうです、これが恋です(笑)
 まさかの一目ぼれです』

そうわかれば、なんだかすっきりした
隆史は家に帰ろうと思っていた。

彼女もちょうど家へと帰ろうとしていた。

隆史は少し、彼女の背中を見送って
自宅への道を自転車で漕ぎ出した。


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