あの日の忘れ物
◇◇◇
どうしてこうなったのか分からない。


気がついたら私は、家から一番近い駅の前に立っていた。いつも着ている中学の制服姿だったけど、カバンも何も持っていない。スマホすら無いから、もうどうしていいのか分からない。


だけど私はたぶん未来に来てしまっていた。だって! いろいろ全然違うんだもん!


隣の家の保育園に通っていたはずのなっちゃんは、高校の制服を着て歩いていたし。生まれたばかりだったお向かいのあっくんはランドセルを背負って登校していた。


すれ違ったあの子たちが本当に本人かと言われると自信ないけど。でも面影は残ってるからたぶん間違いない。


駅前も全然変わっちゃって、知らない家やお店が建っている。駅の売店にあった新聞で日付を確かめたら、どうやらここは十二年後の未来みたいだった。





――――十二年後の未来?





もうパニックを通り越して、呆然としていた。いろいろ変わっているのに、私は十四歳のままの姿。訳が分からない。


とりあえず、自分の家へ帰ってみようと思った。




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