向日葵の天秤が傾く時
「そういうことか。」


「衢肖君の性格なら想像に容易いな。」



銀行にいた時でさえ自ら死のうとはしたが、他人をどうこうという考えは聞く限りは無かった。


そんな巫莵が自分が条件ならば尚更、事務所の為に差し出すに決まっている。



「これ以上長引かせる訳にはいかないな。明日、寒紺弁護士と話そうか。細かい話というのもまだなことだし。」


「そうですね。連絡が無いのは、向こうも切るカードが無いからでしょうし。」



阜紆奢の内心は分からないが、証拠が無いのは同じ。


話と考えは纏まった。



「言い掛かりですからね。」


「渦中の人物ってこと、少しは自覚しろよな。」



驛のポジティブさに節は呆れるしかない。



「くれぐれも衢肖さんに言わないことよ。それと送り迎えは」


「言われなくても分かってますよ。寒紺弁護士はともかく、瀑蛞拓が接触してくる可能性はまだ捨てきれませんから、俺が絶対ガードします。」



心の奥底に仕舞い込んだ罪を、閉じ込めた本体は裁かれることを拒む。


罰は還らずそれが己の首を絞めようとも、他を想い続けるから。



時間が経過する毎に交差する思惑はいつ把握出来る?
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