向日葵の天秤が傾く時
「寒紺の奴も口だけでやる気無いし、当てにならないからな。結局、俺が連れて帰ればいいだけなんだよ。」



曖昧な返答の阜紆奢と進展しない事態に、痺れを切らし乗り込んだ姿はさながら強盗だ。



「ぃ、やめ…っ!」


「離せっ!」



「あ?なんだお前。」



強引に引きずり出ようとする蛞拓の肩を押し退け、巫莵を背へと庇う。



「寒紺弁護士に連絡!」


「は、はい!」



会議室まで聞こえた怒鳴り声。


鮖は樺堀に頼みながらも目線は蛞拓から離さない。



「挧框さん、瀑蛞拓です。」


「砧怙は、娑様さんと学未さんを。所長。」



「ああ。」



驛に入口付近で固まっている2人を任せ、節は薔次へ目配せする。



「瀑蛞拓さん……ですね。今日はどうかしましたか?寒紺弁護士は一緒ではないのですか?」



薔次は努めて冷静に言いながら、ゆっくりと近付く。



「今日、寒紺弁護士と会う約束なのですがね。一緒ではないのでしょうか?」



巫莵まで辿り着くと更に後ろへと下がらせ、蛞拓と距離を取る。



入口に蛞拓、そのすぐ前に卿焼、少し空いて薔次、巫莵を挟んで後のメンバーという位置になった。
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