君を創る世界
この学園があるのは第一区。
世界でトップを争う程最先端な科学技術力を持つ日本、そしてその研究開発施設が集約されているのがこの第一区なのだ。
過去には首都圏等と呼ばれ地名も異なったが、今ではこの小さい島国は全て国と大規模科学研究組織フォラスグループの手の内にある。
地域によっては外周監視ロボも巡回していなく未だ凶悪な犯罪が世に蔓延っているようだが、それならばそんな第五区で壮大な数の花火を打ち上げるのはどうなのかと言う疑問はとりあえず無しにしよう。
どちらにせよ上空高く打ち上がるその花火はここ第一区でも見えるのだ。
ふと中空の透過画面に一通のメッセを受信したという通知が入っていた。
送り主は小川千広、瞬と同じ僕の幼馴染であり唯一気兼ねなく話せる女子の一人でもある。
とりあえず黙ってその中身を確認してみる。
当人が操作するデバイス画面の内容はその当人にしか見えない。
画面自体は近くにいる瞬にも見えるだろうが中身はプライバシー保護の範疇だ。と言っても僕等三人は旧知の仲なので今更、恐らくグループメッセで瞬にも飛ばしているんだろうけど瞬がデバイスを見る事はそう無いからいつも連絡役は必然的に僕になる。
「……ん」
だがその中身を見て僕はふと違和感を抱く事になった。