強引上司にさらわれました
「これからどうするつもりだ?」
事務的な口調で課長が問いかける。
これでも一応は、傷ついた部下なのだ。
仕事を離れているわけだし、もう少し優しい口調でもよさそうなものなのに。
「……どうするとおっしゃいますと?」
せっかくだから今夜は、このホテルに滞在して行くつもりだ。
達也とふたりで泊まるはずだったスイートルームに、ひ・と・り・き・りで。
「明日からどこに住むんだ」
「え?」
どこに住むって……。
「あー!」
思わず大きな声を上げてしまった。
その声に課長が、片方の耳をふさいで顔をしかめる。
そうだった! どうしよう!
住んでいたアパートは、一週間前に引き払ったばかり。
当面の間は、達也が以前から住んでいるマンションで一緒に暮らすことになっていたから、必要なもの以外は全て処分し、荷物も運びこんでしまった。
つまり、私には住むところがないのだ。