強引上司にさらわれました

どうしよう……。
オロオロする私とは対照的に冷静な課長が、私に紙切れを突き出す。


「ここへ来るといい」


反射的にそれを受け取ると、そこには課長の手書きでどこかの住所が記載されていた。

いったいどこなんだろう。


「ここは……?」

「俺のマンションだ」

「はい!?」


飛び上がるほどに驚いた。


「なんてご冗談を」


どうして課長のマンションに私が?
住む場所の心配をしてくれているのだから、課長の部屋に住めと言っているんだよね?

いや、ありえないから。

一日に二度も私を驚かせるのはやめてほしい。
新郎に逃げられたことだけでも、人生の大半の“ビックリ”を使ったというのに。
その上、課長の部屋へ来いなんていう冗談は、いくら最悪な気分の私を引き上げようとしてのこととはいえ、笑って済ませられない。


「行くところがなくて困ってるんだろ?」

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