強引上司にさらわれました

ワインクーラーで冷やした白ワインとグラスをセッティングしたところで、タイミングよく課長が帰って来た。
壁掛け時計を見てみれば、午後六時を少し回ったところ。
五時半きっかりに退勤して、真っ直ぐ帰って来たような時間だ。

もしかして、私のことを心配してくれたんだろうか。
なんて邪推してしまう。


「おかえりなさい」

「体調はどうだ? 寝てなくていいのか?」


そう言いながら入って来た課長は、テーブルに並べた料理を見て唖然とした。


「……具合が悪いって人間がなにやってんだよ」

「もう大丈夫です」

「大丈夫って、お前なぁ……」


呆れながら課長は腰に手をあてた。


「今夜はパーッと飲みたい気分なので、付き合ってもらえませんか?」


課長の背中を押し、無理やりソファに座らせる。
私も隣に腰を下ろし、冷えたワインをグラスに注いだ。


「はい、どうぞ。いい感じに冷えてますよ」

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