強引上司にさらわれました
課長はそっと私を引き離すと、真っ直ぐ射抜くような視線を浴びせた。
身じろぎひとつできない。
瞬きも封じ込めるほどの強さを秘めた眼差しだった。
涙が通った痕を課長の指がなぞる。
熱のこもった瞳から、逃れることはできなかった。
ゆっくり近づいてきた課長の唇が、私の唇にそっと触れた。
時間をじっくりと掛けて、触れては離れてを繰り返す。
私の気持ちが昂るのを辛抱強く待つような優しいキスに、体の奥が痺れるような感覚に襲われる。
一方的に抱きしめられていた課長の背中に、私も腕を回した。
すると、それを待っていたかのように、キスが深くなっていく。
ほかになにも考えられない。
課長と唇を重ねているという事実以外のなにも。
ただ、胸は苦しいほどに激しく高鳴って、肋骨を突き破って心臓が飛び出してしまうんじゃないかと思えるほどだった。
キスが突然止み、課長が私を抱き上げる。
「ベッドにいこう」
課長のかすれた声にうなずいた。
明かりが落とされたままのベッドに下ろされ、課長がネクタイを緩める。
ワイシャツを脱いだ体が薄明りに浮かび上がって、ものすごくゾクゾクした。