強引上司にさらわれました

◇◇◇

「泉! こっちだよ!」


十二時きっかりに社員食堂へ行きトレーを抱えて席を探していると、少し離れたところから美優が私を呼んでいることに気づいた。

彼女の前の空いている席に座る。
すると、私のすぐ後ろからやってきた野沢くんが「俺もここいいですか?」と私の隣に座った。


「こんにちは、野沢くん」


美優に声を掛けられると、野沢くんも「どうもー」とお辞儀をする。
そして今度は私のほうへ体を向けて、もう一度ペコリと頭を下げた。


「麻宮さん、さっきはすみませんでした」

「えっ……あ、そんなの別にいいよ。気にしてないから」

「課長にも注意されましたけど、俺ってどうもひと言多いというか……。頭で考えるまえに口が動いちゃうんですよね」

「知ってる」


笑いながら返した。
否定するつもりはない。
野沢くんがそういうタイプだということは知っているから、そのことで別に腹を立てることもない。

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