強引上司にさらわれました
ソファに掛けてもらうと、彼女は肩をすぼめて、これ以上は無理だと思うほどに体を縮めた。
「会社、辞めたんだってね」
私は、彼女の斜め前のフローリングに正座して尋ねた。
彼女が小さく頷く。
「本当に申し訳ないことをしました。ごめんなさい」
うつむいて体を震わせた。
「達也からだいたいのことは聞いた」
私と達也のことは、もう終わったことなのだ。
それはもういい。
「聞きたいことはそのことじゃないの」
私がそう言うと、舞香ちゃんは怯えながらもゆっくりと私のほうを見た。
「朝倉課長は、舞香ちゃんのお兄さんなの?」
「……はい。私が中学生のときに両親が離婚して、私は母についていって、兄は父に」
だからふたりは名字が違うのだ。
結びつくはずもない。