悲 恋

★★大切な人


それから······

秀悟は、ことあるこどに
会えば、口説いてきた。

「一緒になろう。
俺には、未菜だけなんだ。
花菜を一緒に育てたい。」
など、など、言ってくるが

私は、そんな気持ちになれず
「花菜とは、いつでも
あって構わない
だけど、私じゃない人と
結婚したら」
と、言い続けた。

ただ、秀悟が結婚したら、
花菜とは、もう関わらせる気持ちは
なかった。


そんな生活が、一年、二年とすぎ

その間に
秀悟のお母さんも尋ねてきて
沢山謝ってもらった。

花菜は、綾ちゃん
と、秀悟のお母さんにも
なついていた。

お母さんは、けっして
一緒になりなさいとか
言わずに温かく
見守ってくれていた。

花菜の
小学校の卒業式
中学校の入学式
中学校の卒業式
高校の入学式と
秀悟は、必ず出席した。

本土に戻って
さらに九年がすぎ。


そんなとき、きえ先生の容態が
悪くなり
私と花菜は島に向かった。

秀悟も着いてきた。

きえ先生は、枕元に私達を呼び
「未菜·····
もう、許してあげなさい。
そして、そんな自分も
許してあげなさい。
未菜、幸せになるんだよ。」
と、私に言い。
秀悟には、
「これからは、私に変わって
あんたが、未菜と花菜を
護るんだよ。」
と、言い

花菜の頭を撫でてから
息を引き取った。


私には、かけがえのない
大切な人だった。

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