泣けない大人
あたしのトラウマ
あれは
あたしが
小学校4年生のときの話。
夏休みの昼下がり
蝉たちは
休むことなく
まるで
彼らの
残り少ない人生
を嘆くかのように
鳴き叫んでいたときに
あたしは
水色のワンピース着て
3つ下の妹の彩花と
はしゃぎながら
家の前の駐車場で
遊んでた。
だけど…
その楽しそうな声は
次の瞬間には
静まりかえった―
『変な人がいたら
大きい声をだして
助けてって叫ぶんだよ』
って
大人にはそんな風に教えられてたはずだった。