弱虫なボク~先生と生徒の距離~
朝食のトーストが上手く喉を通らない。

何度も噛んではいるのに。


まるで、何かが邪魔をして塞いでいるかのように感じる。


母さんの傷ついた顔を見れば、答えは自然と浮かびあがる。


「母さん…病院に行った方がいいよ」



母さんの返事を待たず、僕は椅子から音を立てずに立ち上がり、タクシーを呼ぶ為に電話をかけた。


母さんは黙ったまま、顔を両手で覆い僕には心配させないようにしてるのか?



でも、小刻みに震える肩や涙までは隠せない。


見ているのが辛くなり、僕は……


「母さん…もうすぐタクシーが来るからね」


そう言い残して、僕は、外へと逃げてしまった。
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