弱虫なボク~先生と生徒の距離~
少し、また沈黙になり、里奈はゆっくり僕の方を向いたと思ったら



「…うん」


と、小さな声で答えた。


その瞬間、完全に僕の中で、何かが弾け、激しく割れる音が響いた。


グラスを落としたみたいな音ではなく、そんな音よりも、もっと大きな音が。



「里奈、行くぞ」



頭が真っ白になっている僕をよそに、


「ゴメン」


最後に里奈は、そう言い残し、僕の前から消えて行った。


いや、僕の前からじゃなく、僕の心から消えていった。


2人が居なくなった後も、その場に僕は立ち尽くしたまま。


その時、僕は完全に思考回路停止になり、動けないロボットのようになっていた。
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