弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「井手君!!」


背中の方から聴こえる女の子の声


体を反転させ、ゆっくり振り返ると…



「高田…?」


赤い傘を広げ、息を乱している高田香奈がそこに居た。


「おはよう」


なぜかぎこちない笑顔を浮かべて僕に挨拶…?


「あ、おはよう…」


僕までもが、ぎこちない挨拶をしてしまった。


普段、通学時には絶対会わない相手


しかも、おはようの挨拶すらしない相手…


だから、ぎこちなく声も上擦ってしまった。


なんだ?


高田香奈は、僕のぎこちない挨拶に反応したのか、クスっと笑って、


「この道通って来てるんだ~」


と、僕を見ながら尋ねてきた。


「何だよ…」


なんか、今日の高田香奈は、いつもと違うような気がしてならなかった。
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