クールな御曹司の甘いお仕置き
「あっ、言い忘れるとこだった。お袋がニースに行ってて、お前当分うちに泊まることになったから。あまり面倒かけるなよ」

何事もなかったかのようにそう言うと、優君は寝室を出ていった。

彼がいなくなると、私はまだ彼の唇の感触が残る自分の唇にそっと触れる。

まだ信じられない。

優君が自分から私にキスしたなんて……。

そりゃあ、幼稚園上がる前とかは挨拶がわりにお互いキスしてたらしいけど……。

物心ついた頃からは、優君からキスなんて絶対になかった。

優君のキスをずっと望んでいたはずなのに……さっきのキスを素直に喜べない自分がいる。
あのキスは私を罰するためのもの。

そこに気持ちはこもっていない。
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