不器用な二人はあまのじゃくの関係
ドキドキあまあまなデートをします。遥太side

「…っやべ、寝坊した!!!」


目を覚ました俺は時計を見てビビる。
約束の11時まであと30分しかない!

昨日は緊張しすぎて眠れなくて気を紛らわせようとゲームを始めたらなかなか止まらなくなって……

って言い訳並べてる暇なんてない!


俺は急いで着替えて洗面台で顔を洗う。
今日…デート……じゃないから!遊ぶだけ!


わざわざ、自分で緊張するようなこと考えるなよ!!

あんまり時間ないから少しだけヘアアイロンで髪を跳ねさせてワックスをくしゃくしゃと馴染ませる。

男友達と遊ぶときみたいにセットしてるだけなのに変じゃないかとか考えてしまう。

あぁーもう!

俺は財布の中身がちゃんと入ってるか確認してポケットに押し込む。

少し髪を触って部屋を出た俺は2階から階段を駆け下りる。





中学のころ、俺は彼女とデートをしたことがない。
特にしたいとも思わなかったし、何より杏奈に他の女と歩いているところを見られたくなかった。
デートに誘われるたびに部活を理由にして断ってきた。



デートってこんな緊張するのかよ。
いや、“杏奈と”だからだな。





この間、杏奈と知らない男が廊下でコソコソ何かを話しているのを見た。
見たくなくてすぐに目をそらした。

あの日からあの男のことが気になって仕方がないんだ。

もし、あいつが杏奈のことを好きでも絶対わたさない。




杏奈には聞きたいことがいくつかあるけど、それは今日……告ったあとだ。


杏奈…好きだ。




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