不器用な二人はあまのじゃくの関係

「煌大くんは優梨と夏祭り行くの?」


図書室で雑談中の私と煌大くん。
煌大くんと優梨が行くなら4人でとかってなったら遥太のこと誘いやすい。

「あぁ、夏祭りの日は部活なんだってさ。普通の練習だったら夜行けたんだけど練習試合らしいから別の日にデートしようってことになったんだ。あ、もしかして、大宮?」

「うん。誘おうかと思ったんだけど練習試合なら無理だよね。」

「そうなるね。」


ショック。
夏祭りに練習試合入れるなんて顧問、鬼すぎでしょ。
いつ告白しよう。
タイミング完全に失った。

「夏祭りの日の夜、会いに行ったら?」

「へ?」

「家がどのへんなのかはわからないけど花火とか大宮の家から見えない?」

「あ!見える!見えるよ!!」

私と遥太の家は祭り会場から近く、花火を見るには穴場なのだ。
一緒に花火を見ながら………キャーッ!
これで告白できたら最高じゃん!

「俺のこと、応援してくれたから、杏奈ちゃんのことも応援したい。できることはなんでもするから言ってね。」

「ありがとう!煌大くん!」



よし!こうなったら!


「なんて告白したらいいかな?」

「うーん。俺は優梨が納得するような告白じゃないと気持ちは伝わらない関係だったけど、杏奈ちゃんと大宮はなにもかっこつける必要ないと思うよ。」

「そっか。じゃあ、もう、ストレートにだよね!好きって!がんばろう!」

「杏奈ちゃんってなんでこんなわかりやすいのに大宮は気づかないんだろう。」

苦笑いしている煌大くん。
そんなにわかりやすい!?

「吉川 葉月ちゃんってわかる?」

「あぁ、うん。大宮のとこによくいる子でしょ。優梨が言ってた。」

「遥太、吉川さんのこと好きなのかな…」

「好きだったらどうするの?」

そりゃあ、

「諦めるよ「なんで?」

私の声に重ねてくる煌大くん。真面目な顔で私を、見つめる。

「相手が誰を好きかは問題じゃない。杏奈ちゃんが大宮をどれだけ好きかってことだよ。傷つくことばかり考えてたら、きっとなにもうまくいかないよ。」

そうだ。
本当にそうだ。
傷つかないようにしてきたから今まで進展がなかったんだ。
傷ついてもいいから勇気を出してデートに誘ったら少し距離が近づいたんだ。
なにもしなくちゃ始まらない。
今を一生懸命に生きなきゃ行けないのに、さっき橋本さんに教えてもらったばかりなのに。
私は、本当に甘えんぼうだ。
もっと自分に厳しくしなきゃ幸せにはなれないよね。

「今すぐにでも告白しに行きたい。」

「積極的だね。いいことだよ。でも、今は授業中だからやめたほうがいい。」

純粋に笑っている煌大くん。
積極的になれたかな?

私、成長してる!

もうなにも怖くないよ!!!









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