不器用な二人はあまのじゃくの関係
これから係をきめます。遥太side
「はぁ」

杏奈と同じクラスになれなかった。

いつも同じだったのに。

さっきクラス表を見てクラスが別なことを知った時なんだか嫌な予感がした。

“杏奈が取られる”

俺は幼なじみの杏奈のことがずっと好きだ。

杏奈は気づいてないと思うけどな。

ずっとずっと好きで、何回も想いを伝えようとした。けど、毎回怖くてできなかった。

もし告白したら拒絶されてこれまでみたいに遊んだり一緒に登校したり起こしてもらったりできなくなるんじゃないか。って。

だから中学では来るのも拒まずで彼女を何度も作っては別れてを繰り返していた。杏奈への気持ちを忘れるために。

杏奈の顔を見ると杏奈しか見れなくなる。

杏奈は今まで彼氏がいたことはなかった。

だからチャンスがあるのかもって思ってたけど

「好きな人の作り方がわからない」

中学のときに言われた一言。

たぶん杏奈は他の男のところには行かない。でも俺にもチャンスはない。

そう確信した一言だった。


でもその確信は崩れ落ちた。

杏奈が男とふたりであるっていた。

ふたりとも笑っていた。



俺は嫌な予感への心のもやもやを解消したくて1組に行った。

優梨はひとりだった。

「なぁ、優梨、杏奈は?」

「あー、斎藤くんと職員室行ったよ?」

「おっけ。」

それだけつたえて職員室に向かった。

そして見えた光景は杏奈と斎藤とかいうやつが笑いあってあるっている姿だった。

斎藤はたくさんの書類のようなものを持っている。杏奈は薄く重ねられたプリントを両手で抱えている。

俺はいつも杏奈に優しくしてやれなかった。

荷物をわけたことはあったけど同じくらいの量で、あいつのものは持ったことがなかった。

俺の気持ちを知られてしまうんじゃないかって思うと優しくできなくて、いつも悪口ばかりが口走る。

後悔がこの上ないくらいこみ上げた。
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