不器用な二人はあまのじゃくの関係
その後他の係もすんなりきまり、一旦休み時間になった。

私は真っ先に優梨の席に向かった。

「優梨、ごめんねぇ」

「いいのいいの(笑)斎藤くんと仲良くなれるチャンスじゃん。かっこいいんでしょ?」

「それがね、私の後ろの席の人名前陽太っていうの。もう拷問級だよぉ」

「あぁ、それであんな大声。」

「うん…」

「まぁ新しい出会いじゃん?ふたりで係がんばりなね?」

「杏奈ちゃん、先生に呼ばれたから行こ?」

「杏奈、第二の遥太が迎えに来たよ」

からかわないでよー!人の気も知らないで!

そういう気持ちをこめて優梨をにらむ。

「杏奈ちゃん?」

「あ!ごめん!行こっか!」

「いってら〜」


「先生が遠足係は職員室に集合だってさ」

「なんか大変そうな係になっちゃったね」

私が苦笑いして陽太くんを見る。

「いや?杏奈ちゃんと同じ係になれてうれしいから気にしてないけどなぁ」


カァーッ


「ははっ、杏奈ちゃん顔真っ赤!かわいい〜」

「な!陽太くんからかわないでよ!」

「ごめんごめん…はははっ」

「笑いすぎ………」

遥太………

「どした?杏奈ちゃん?」

「……ん?!なんでもないよ!それよりもうすぐ職員室だよ!」

「あ、ほんとだ。けっこう迷路かと思ってたけどそうでもなかったね(笑)」

「たしかに(笑)」


コンコンコン


「失礼します、1年1組の斎藤 陽太です。」

「おぉ、斎藤、川井さん。これ、次使うから持っていってくれ。」

「多っ!」

は!つい声に出てしまった。

「はは、俺が持つから杏奈ちゃんはちょっとだけ手伝って?」


ドキッ



「う、うん。ありがと」

優しい…なんとなく女の子扱いされたみたいでうれしいな。

「ほい、これ持ってくれる?」

「任せて!もっと持てるよ!」

「はははっ、このくらいひとりで持てるっつの(笑)」

「なんかかっこいいね」

「ふっ、ありがと」

いつも遥太には男の子みたいな扱いしかされてこなかったからなんだか新鮮…

その後、たわいもない話をしながらふたりで教室に戻った。
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