不器用な二人はあまのじゃくの関係

「君の普段の真面目な性格が好き。
でもそんな君がときどき見せる無邪気な笑顔はもっと好きだ。
君の気が利くところが好き。
川井さんがなにか悩んでいる時にさり気なく気づける優しい君が好き。
帰りに偶然君を見つけて話しかけようとしたとき、君は迷子の女の子をがんばって慰めようとしていた。
誰にでも優しくて、言いたいことははっきり言える君が好きだ。
いつ好きになったのか考えていた。
ずっとわからなくて……でも今ならわかるよ。

俺は、佐伯さんのことが初めて会った日がずっと好きだった。

俺と、付き合ってください!」




自分でも驚いた。
何の前触れもなくいきなり告白していた。
佐伯さんも驚いて開いた口が塞がらない状態だ。
そうなるよ、普通。
俺もビビってるし。



「…いきなりごめん。でも本気なんだ。」

俺はなんとか口を動かして話す。
驚いていた顔の佐伯さんはニコッと笑ったかと思ったら声を出して笑い出す。

「え、なにか、おかしかったかな?」

「ううん、おかしくないけど、ハハッ!嬉しくて」

「え?」

「私、こんなに自分の嫌いなところ褒められたことないから、嬉しくて笑ってるのよアハハ」

「嫌いなところ?いいところばかりじゃないか!」

「真面目すぎてノリ悪い、気が利きすぎて逆に不気味、なんでもはっきり言いすぎてオブラートに包むことができない。なんて、言われてるのよ?私。」

「そんなことない!佐伯さんはとってもかわいくて……あ」

「ふふ、梶原くんは優しいね。でも、ありがとう。こんな風に言われたの初めてで、少し自分のこと好きになれたわ。
なんだか好きになっちゃったかも、煌大くんのこと♪」



ドキッ



いきなり名前で呼ばれて胸が高鳴る。

「付き合ってあげるわ♪」

「ありがとう!大好きだよ!優梨!」


俺は人に上手く気持ちが伝えられない。
優梨は俺とは正反対で、憧れていた。
その憧れがすぐに好きに変わった。彼女のかわいい笑顔で。
大好きだ。
大切にするよ。これからずっと。
















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