真愛
ここは私のような行き場をなくした子達のいわゆる駆け込み寺?
んー、まぁそんなところ。
親に捨てられた子、見放された子、家出してきた子。
まぁ様々な子が出入りしてる。
そんな子が当たり前お金なんか持ってるわけもなく。
そんな時役立つのがここ。
体も売らず、無料で寝泊まりできる。
しかも飲み食い自由ときた。
経営者はどんな金持ちなんだろーね。
お金なんてあるだけ虚しくなるものなのに。
まぁ、使い道としてはこっちからしたら嬉しいけれど。
ここではお互いの干渉禁止だから楽だしね。
まぁ、1人だけ信用できる子がいるけど。
「あーーーっ!なーつんっっ!!」
栗色のサラサラストレートの髪を揺らし笑顔で抱きついてくる可愛い少女。
くりくりとした瞳が印象的。
私の唯一信用している人、南 雪乃(みなみ ゆきの)。
『南とか暑そうなのに雪って真逆じゃない!?もー、変な名前だよねぇ!』
なんて急に話しかけられたのが始まり。
最初の頃なんて頭おかしい子としか思ってなかった。
でも時折見せる儚くて消えそうで闇を抱えた瞳に惹かれた。
そして同時に分かり合いたい、なんて思った。
で、今に至るって感じかな。
「どれくらいぶり!?2日くらい!?」
「そのくらいじゃない?」
「もーーうっ、会いたかったんだから!」
「相変わらず元気ね。チワワみたい」
「わんっ!」
なんてふざけて笑う。
ほんと、笑顔が似合う子。
「あ、時間だ!ごめん、もう行かなきゃ!」
「今日も出るの?」
「うん、ごめんね。今度ゆっくり話そう?今日は外せないの」
眉尻を下げて申し訳なさそうにいう。
いつも夜は出ること多いし、もう気にしてないんだけどね。
「いいよ、また今度ね」
「うんっ!連絡するね!」
雪乃を見送って空いている部屋を探す。
ネットカフェみたいに部屋がいくつかあって、1つ1つ区切られている。
結構過ごしやすい空間。