真愛



「そんなに驚いたか?」

くすくすと笑い、また私を抱き締める。

「ねぇ、ほんとに瀧…?」

「お前どーした?おかしいぞ?」

まるで私がおかしいようにいう。

だって、私を裏切り者だと罵って…蔑んで……。

これは夢?現実?

頭をフル回転させながらも、私はゆっくり瀧の背に手を回す。

この感触、覚えてる。

瀧の背中だ。

戻れたんだ、あの日に。

誤解が解けたんだ…!

そう喜んでると、急に突き飛ばされた。

床に尻もちをつき、みんなを見ると……

あの日のように私をゴミを見るような目で見る。

「裏切り者が俺に触れるな」

「汚ねぇよ」

またあの日が繰り返された。

ひどい吐き気と頭痛に襲われる。

心臓と胃を鷲掴みにされたような感覚。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…!!!!!

「次は何されたい?アイツらと同じようにオカシテヤルヨ」

歪んだ笑みを浮かべるみんな。

嫌だ、そんな目で見ないで。

近づかないで。

「お前は汚れてるんだよ」

視界が一瞬にしてグニャリと歪む。



「いやぁぁぁああぁあぁぁあ!!!!」



「奈々!!??」

勢いよくドアを開け、部屋に飛び込んできた。

そこら中にあるものを尊に投げつけ、暴れる。

「やだっ…やだっっ……!!!近づかないで、来ないでっっっ……!!!」

「奈々、俺だ」

「いやぁぁぁああ!!!」

それでも私は暴れることをやめない。

「お願い殺してっっっ……!!!こんなことならいっそ…!!」

次の瞬間、私は温もりと柑橘系の香りに包まれた。






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